選択的シングルマザーとは?なるために必要な条件と注意点

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選択的シングルマザーとは?なるために必要な条件と注意点

日本の母子世帯(シングルマザー)数は、1990年から2015年までの国勢調査によると全国で約20万世帯も増えています。夫婦2人で子供を育てる家庭と違って、母親1人で子供を育てるシングルマザー(母子家庭)は大変そうと感じる方も多いでしょう。

そんなシングルマザー(母子家庭)の中でも「選択的シングルマザー」という言葉をご存じでしょうか?今回は選択的シングルマザーとは何なのか?そして、選択的シングルマザーになるメリットやデメリット、注意点などについてご紹介いたします。



1.選択的シングルマザーとは何か?今増えている、それはなぜか?

    

そもそも「選択的シングルマザー」とは、自らの意志で結婚をせずに母になることを選んだ女性のことです。この言葉は、アメリカの心理療法士ジェーン・マテスが1981年に提唱したもので、その後ジェーン・マテスは「Single Mother by Choice(選択によるシングルマザー)」という組織を発足しています。
ジェーン・マテスが定義する選択的シングルマザーは「自分の意志でシングルマザーになることを決意した人」という意味であり、未婚状態のカップルや事実婚の夫婦などはそれに該当しないとしています。

近年、歌手の浜崎あゆみさんや元フィギュアスケーターの安藤美姫さんなど、芸能界やスポーツ界でも選択的シングルマザーとして子供を出産する女性が増えていることもあり、少しずつ認知度が広まっている言葉です。

そんな選択的シングルマザーが、実は今増加しています。
厚生労働省の調査によると、母子世帯における未婚のシングルマザー(母子家庭)の割合は、1983年から2016年までに5.3%から8.7%に3.4%も増加しているのです。

(表)母子世帯になった理由別 構成割合の推移(単位:%)
調査年次 総数 死別 生別 不詳
総数 離婚 未婚の母 遺棄 行方不明 その他
1983 100 36.1 63.9 49.1 5.3 N/A N/A 9.5 N/A
1988 100 29.7 70.3 62.3 3.6 N/A N/A 4.4 N/A
1993 100 24.6 73.2 64.3 4.7 N/A N/A 4.2 2.2
1998 100 18.7 79.9 68.4 7.3 N/A N/A 4.2 1.4
2003 100 12.0 87.8 79.9 5.8 0.4 0.6 1.2 0.2
2006 100 9.7 89.6 79.7 6.7 0.1 0.7 2.3 0.7
2011 100 7.5 92.5 80.8 7.8 0.4 0.4 3.1 N/A
2016 100 8.0 91.1 79.5 8.7 0.5 0.4 2.0 0.9
出典: 平成28年度 全国ひとり親世帯等調査結果

グラフからもわかる通り、2016年の最新調査では今までの調査年度に比べて未婚の母の割合が最も多い結果となっています。未婚のシングルマザー(母子家庭)の全てが選択的シングルマザーという訳ではありませんが、数字から推測して選択的シングルマザーが増えていると言えるでしょう。

1-1.選択的シングルマザーが増えている理由

なぜ選択的シングルマザーが増えているのか?それにはさまざまな理由があると考えられます。例えば、
● 出産をしても自由に恋愛したい
● そもそも1度離婚経験があり、もう結婚したくない
● 男性不信だが子供を育てたい
● シングルマザー(母子家庭)の母に育てられたため自分もそうしたい
● 夫婦別姓が認められていない日本で苗字を変えたくない など

自らの意志でシングルマザー(母子家庭)を選ぶ理由は一概には言えず、それぞれの家庭によってそれぞれの理由があるでしょう。
そしてこの記事の最後でもご紹介しますが、現在はシングルマザー(母子家庭)を支援する制度や手当がたくさんあること、そして今ご覧になっているこのサイトひとり親waccaのようなプラットフォームが充実していることもシングルマザー(母子家庭)の道を選びやすくなっている背景だと考えられます。

2.選択的シングルマザーになるメリット・デメリット

    

2-1.選択的シングルマザーになるメリット

選択的シングルマザーになることはさまざまなメリットがあります。

1つ目は、自分が希望するタイミングで子供を出産できるということです。
選択的シングルマザーになる方法は後述しますが、キャリアを積んで経済力を持っている女性にとっては恋愛や婚活に時間を割いている暇がないという場合もあるでしょう。
しかし、そんな女性にとっても出産のリミットが等しく存在しています。今やっている仕事を続け、これからもキャリアを築きたい。しかし、年齢的に出産のリミットが近づいているという場合は選択的シングルマザーという道があるのです。

2つ目は、アセクシャルなどのセクシュアリティの特性があっても、母親になれるということです。
アセクシャルとは、他者に対して性的欲求や恋愛感情を抱かないセクシュアリティのことです。選択的シングルマザーであれば、性的な接触や恋愛をせずとも母親になれるのです。

3つ目は、夫婦別姓が認められていない日本において、姓を変える必要がないということです。
現在日本では夫婦別姓が認められておらず、結婚する場合は夫か妻どちらかの姓を選ばなければなりません。これは事実婚などで対応することも可能ですが、選択的シングルマザーという解決方法もあります。

2-2.選択的シングルマザーになるデメリット

デメリットに関しては、選択的シングルマザーだとしても一般的なシングルマザー(母子家庭)と同じで収入面・人員面と言えるでしょう。厚生労働省の調査による未婚の母の収入については以下の通りとなっています。

総数 100万円未満 100〜200万円未満 200〜300万円未満 300〜400万円未満 400万円以上 平均収入
年間就労収入 100 27.1 38.3 18.0 9.0 7.5 177万円
年間収入 100 5.0 22.0 29.0 16.0 28.0 332万円
出典: 平成28年度 全国ひとり親世帯等調査結果

 就労収入に関しては100〜200万円の世帯が多いものの、手当などを含めた全ての収入は年間平均で332万円となっていました。
国税庁の調査によると、日本全体の平均給与は2022年現在433万円となっていますので、未婚の母の収入は平均101万円低い結果となっています。

そして、選択的シングルマザーは夫婦共働きで子育てをする場合と違って、万が一仕事がなくなってしまった場合に収入源を失ってしまうというリスクがあります。
そういった収入面のデメリットに対応するために、後述する様々な経済的補助支援制度を受けることやひとり親waccaのようなプラットフォームを利用することをおすすめします。

さらに、選択的シングルマザーでは一般的なシングルマザー(母子家庭)と同じく1人で仕事と子育てを両立させなければなりません。優先的に保育園に入所できることや、両親に子育てを手伝ってもらうなどして、人員面のデメリットに対する体制を整えておくと良いでしょう。

3.選択的シングルマザーを検討する際の注意点

    

この記事をご覧になっている方の中には、現在選択的シングルマザーを検討しているという方がいるかもしれません。そんな方のために、選択的シングルマザーを検討する時の注意点をいくつかご紹介いたします。

3-1.子供が「出自を知る権利」

まず1つ目が子供自身の「出自を知る権利」に関するものです。「出自を知る」とは、自分の父親が誰なのかを知ることです。

子供が成長して「自分の父親は誰なのか?」と思うことは自然と言えるでしょう。場合によっては「父親に会いたい」と言うかもしれません。その場合にどう対応するのかをその時までに考えておく必要があるかもしれないのです。

日本が批准している国連の子どもの権利条約第7条では「児童はできる限りその父母を知り、且つその父母によって養育される権利を有する」とあります。
しかし、出自を知る権利に関しては日本ではまだ浸透していませんし、日本の法律ではまだ整備されていません。ただ、子どものためにもこの出自を知る権利に対応する必要があるでしょう。

3-2.父親の「認知」問題

2つ目が父親の認知問題です。これに関しては2つの問題があると考えられます。

1つ目は認知を求めない条件のもとで妊娠したものの、その後交際相手から「認知したい」と言われた場合です。この場合、認知してもらうのか認知してもらわないのかを話し合いで決める必要があるでしょう。認知してもらわない場合、子供は戸籍上父親の欄が空欄になります。

2つ目は養育費をもらうために認知してもらうというものです。選択的シングルマザーを選ぶ方は「養育費をもらうつもりは最初からない」という方が多いかもしれませんが、子どものことを考えると養育費は必要だという方もいるでしょう。
その場合は相手の方に認知してもらう必要があります。父親の認知がなければ養育費を請求することはできないからです。

3-3.選択的シングルマザーに関する周りの偏見

日本におけるシングルマザー(母子家庭)世帯の数は年々増えていっています。しかし、それは日本全体の世帯数に比べると、まだまだマイノリティという状況です。以下は厚生労働省の調査結果です。

日本全体の世帯数 4994万5千世帯
母子世帯数 123万2千世帯

出典: 平成30年 国民生活基礎調査(平成28年)の結果からグラフで見る世帯の状況
出典: 平成28年度 全国ひとり親世帯等調査結果

平成28年度の段階で日本全体の世帯数におけるシングルマザー(母子家庭)世帯の数は、3%以下となっています。
そして上記でも述べた通り、経済面でも日本の平均以下であるシングルマザー(母子家庭)を自ら選択するということは、周りの意見もポジティブなものばかりではないかもしれません。親戚や友人などから偏見を受けるかもしれないということを覚悟しておく必要があるでしょう。

4.選択的シングルマザーになるために必要な条件

自分の意思でシングルマザー(母子家庭)の道を選ぶ選択的シングルマザーになるには、主に2つの要件があります。ある程度準備をしておけば、シングルマザー(母子家庭)になった後に困ることが少なくなるでしょう。

4-1.経済的な自立

先述した通り、国税庁の調査によると2022年現在の日本の平均給与は年間で433万円となっています。そして厚生労働省の調査によると未婚のシングルマザーの年間平均給与は332万円です。まずはこの金額差のギャップを埋めることが、選択的シングルマザーにとっても子供にとっても必要な条件となるでしょう。
では、子供1人を育てるのにはどれくらいのお金がかかるのかご紹介します。
まずは教育費です。

公立 国立 私立
1年当たり 総額 1年当たり 総額 1年当たり 総額
小学校 32万1,281円 192万7,686円 なし なし 159万8,691円 959万2,146円
中学校 48万8,397円 146万5,191円 なし なし 140万6,433円 421万9,299円
高校 45万7,380円 137万2,140円 なし なし 96万9,911円 290万9,733円
大学 53万8,633円 254万8,150円 53万5,800円 242万5,200円 90万4,146円 386万6,569円
総計 - 731万3,167円 - 719万217円 - 2,058万7,747円

出典: 平成30年度子供の学習費調査の結果について
出典: 【参考2】国公私立大学の授業料等の推移

続いて、養育費です。

年間養育費 年数
未就園児 84万3,225円 3 252万9,675円
保育所・幼稚園児 121万6,547円 3 364万9,641円
小学生 104万8.299円 6 628万9794円
中学生 128万1458円 3 384万4374円
高校生※ 128万1458円 3 384万4374円
大学生 70万4,700円 3 281万8800円
総計 - - 2,297万6,658円

出典: 平成21年度インターネットによる子育て費用に関する調査
出典: 平成30年度学生生活調査結果
※高校生のデータがないため中学生のデータを使用しています。

教育費と養育費2つの金額を合わせると、子供1人を育てるのには最低でも3,016万6,875円かかると算出することができます。
ただ、シングルマザー(母子家庭)の場合は一般の夫婦家庭と比べて様々な手当や支援制度を受けることができますので、全てを用意しなければならないという訳ではありません。

4-2.精神的な自立

続いて必要なのが精神的自立です。

選択的シングルマザーの場合は一般的な夫婦とは違い、子供に関することや生活に関することを母親が主体的に決めなければなりません。
子供は親の顔をよく見ているので、不安そうだったりするとそれが意外と子供に伝わっているものです。ですから、精神的に自立している方は選択的シングルマザーに向いていると言えるでしょう。

経済的な自立や精神的な自立が必要と述べました。とはいえ母親も1人の人間なので、1人で抱え込みすぎないようにしてください。親戚・友人・公共機関などを頼ってもいいし、頼った方がいいと思います。また、ひとり親waccaにて同じ境遇の方に相談することも有用かと思います。
1人で抱え込みすぎず、時には周りを頼ってみてください。

5.選択的シングルマザーのなり方

ここからは選択的シングルマザーになる方法についてご紹介します。現在日本では、未婚女性が精子提供を受けるための法整備が整っていません。しかし、以下の方法であれば選択的シングルマザーになることができます。

5-1.妊活はするが結婚はしない

まず初めにご紹介する方法は、交際相手と妊活はするものの結婚はしないというものです。

一般的なカップルであれば、結婚後に妊活を始めて出産という形になりますが、選択的シングルマザーの場合は結婚をしません。そして交際相手に認知してもらうかどうかも2人で話し合って決めることになるでしょう。

この記事で紹介する方法の中で、最も現実的な手段となります。

5-2.海外の精子バンクを利用

日本では現在、未婚の女性が精子提供を受けるための法整備が整っていません。国内の医療機関では、精子を提供するドナーが不足していて、すぐには治療を受けられないという問題もあります。

そこで、海外の精子バンクを利用するという方が増えています。アメリカフロリダ州にある世界最大の精子バンク「クリオス」では、2019年以降日本国内の利用者数が200人を超えているそうです。
日本の医療機関では精子の提供は匿名で行われているのですが、クリオスのドナーはおよそ半数が身元を開示しているため安心感もあります。

費用は精子の運動率などによっても異なりますが、7,000円〜25万円となっています。

5-3.国内で有志による精子提供を受ける

2021年4月に国内初の民間精子バンク「株式会社みらい研究所」が埼玉県越谷市に設立されました。

費用は1件あたり15万円ほどとなっています。
しかし、この国内の民間精子バンクは、法的に婚姻している夫婦にのみ精子提供が行われているため、未婚の女性が国内の精子バンクを利用することはできません。

そこでインターネットを利用した医療機関が関与しない精子取引が存在していて、実際に利用する方もいます。しかし、それはお勧めできません。 なぜなら精子を提供する側の病歴や性感染症の有無などを確認できず、トラブルになってしまう事件が起きているからです。
ですから、現状未婚の女性が医療機関を通じた精子提供を受けるには、海外の精子バンクを利用する以外にありません。

6.シングルマザー(母子家庭)が使える手当や支援制度

では最後に、選択的シングルマザーを含むシングルマザー(母子家庭)が使える公共機関の手当や支援制度などについてご紹介します。

まず、シングルマザー(母子家庭)が使える公的支援制度には以下のようなものがあります。
● 児童手当
● 児童扶養手当
● 児童育成手当
● 住宅手当
● 特別児童扶養手当
● 障害児福祉手当
● 医療費助成制度
● 高等学校等就学支援金制度

続いて、シングルマザー(母子家庭)が使える手当には以下のようなものがあります。
● ひとり親控除・寡婦控除
● 国民年金の免除
● 交通機関の割引制度
● 上下水道の減免制度
● 保育料の免除や減額制度

このように日本では、シングルマザー(母子家庭)が使える制度や手当がたくさんあります。それぞれ地方自治体によって、取り入れている場所と取り入れていない場所があったり、金額が違ったりします。申請する際は、お住まいの地域の市区町村のHPなどで確認してください。

wacca内では以下のような記事も掲載しております、よろしければご覧ください。
出典: シングルマザー(母子家庭)が利用できる手当・支援制度のまとめ
出典: シングルマザー(母子家庭)が大変なこと5選!手当や支援制度についても徹底解説!

7.まとめ

ということで今回は、今増えている「選択的シングルマザー」についてご紹介してきました。

経済的な自立と精神的な自立、そして妊活の面をクリアすれば選択的シングルマザーになることはできますが、一般的なシングルマザー(母子家庭)と同じようなデメリットや、子供の「出自を知る権利」や父親の「認知」問題など様々な注意点もあります。
そういった点を踏まえた上で、自分と子供にとって1番いい道を考え選択してみてはいかがでしょうか。

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