母子家庭(シングルマザー)が気になる母子手当と児童手当の違いは?条件や内容を徹底解説!

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母子家庭(シングルマザー)が気になる母子手当と児童手当の違いは?条件や内容を徹底解説!

母子家庭(シングルマザー)が利用できる手当のなかに、「母子手当(児童扶養手当)」と「児童手当」があります。ひとり親で育児をしていくうえで、利用できる手当や制度について理解し、活用することで、安定した暮らしを送りやすくなるでしょう。

今回は、母子家庭(シングルマザー)が受けられる「母子手当(児童扶養手当)」と「児童手当」の違いや、それぞれの条件・内容について詳しくお話ししていきます。また、記事後編ではそのほかに母子家庭(シングルマザー)が受けられる手当や制度についても紹介していますので、あわせて確認していきましょう。
「自分の家庭はどのくらい手当がもらえるのか知りたい」「手当をうまく活用して生活を安定させたい」という方は、ぜひご覧ください。



1.児童扶養手当(母子手当)と児童手当の違い

    

まずは、それぞれの手当について厚生労働省「児童扶養手当について」と内閣府「児童手当」を参照しながら、違いを解説していきます。名前が似ていますが、内容は全く違うものであるため注意してください。

1-1.児童扶養手当とは?

母子手当のことを正式名称で「児童扶養手当」といい、ひとり親世帯を対象とした手当が支給される制度です。

名称 児童扶養手当
受給条件 児童を養育するひとり親※母子家庭・父子家庭・未婚ともに対象
子供の年齢 18歳になってから初めての3月31日までの間(障害児は20歳未満まで)

全国の受給者数は900,673人(令和2年3月末時点)となっておりますが、厚生労働省「ひとり親家庭の現状と支援施策の課題について」より、母子家庭の方が父子家庭よりも児童扶養手当の支給率が高いことが分かります。

母子家庭 父子家庭
全部支給 35.4% 16.5%
一部支給 37.8% 29.4%
支給していない 26.8% 54.1%

平成23年度全国母子世帯等調査を元にしたものであるため、目安としてご参考ください。

1-2.児童手当とは?

 

児童手当とは、対象の児童を養育している世帯向けに制定された支援制度です。
児童扶養手当(母子手当)との違いとして、対象となるのが母子家庭や父子家庭などのひとり親世帯だけでなく、15歳未満の子どもがいて条件を満たす場合は、ふたり親家庭であっても手当を受けられます。

名称 児童手当
受給条件 対象の児童を養育する世帯
子供の年齢 15歳になってから初めての3月31日までの間

内閣府「平成30年度児童手当事業年報」による、15歳以下の子どもがいる家庭の児童扶養手当の受給率は以下の通りです。

区分 人数 割合
被用者 7,542,695人 約75%
非被用者 1,598,565人 約16%
公務員 900,026人 約9%

児童手当は生活している自治体より受け取るのが基本ですが、公務員は勤務先より支給されるため、申請方法が異なります。

2.母子家庭が受けられる児童扶養手当の条件や内容

まずは、母子家庭(シングルマザー)で受給できる児童扶養手当について、条件や内容を詳しく解説していきます。手続きの流れまで解説していますので、児童扶養手当の仕組みがよく分からない…と不安な方も一緒に確認していきましょう。

2-1.児童扶養手当の内容

児童扶養手当は母子手当とも呼ばれており、ひとり親家庭の生活の安定と自立を助け、児童が健全に育つことを目的とした制度です。
母子家庭(シングルマザー)が児童扶養手当を受ける際、子どもの人数に合わせた以下の表にある金額が、「1月、3月、5月、7月、9月、11月」の年間6回にわたって支給されます。

対象 全部支給の場合(月額) 一部支給の場合(月額)
一人目 43,160円 43,150〜10,180円
二人目 10,190円 10,180〜5,100円
三人目以降〜 6,110円 6,100〜3,060円

児童扶養手当には、定められた額のうち全額を支給される「全額支給」とその一部が支給される「一部支給」の種類があり、母子家庭(シングルマザー)の前年の所得に合わせて変動します。

全額支給の所得限度額は平成30年8月分に引き上げが行われ、現在において全額支給の対象となる母子家庭(シングルマザー)の所得は以下の通りです。

扶養する児童の人数 収入 所得
0人 1,220,000円 490,000円
1人 1,600,000円 870,000円
2人 2,157,000円 1,250,000円
3人 2,700,000円 1,630,000円
4人 3,243,000円 2,010,000円
5人 3,763,000円 2,390,000円
出典: 厚生労働省 「児童扶養手当」についての大切なお知らせ

2-2.児童扶養手当を受ける条件

母子家庭(シングルマザー)が児童扶養手当を受ける条件として、以下のようなものがあります。
●父母が婚姻を解消(事実婚の解消含む)した後、父又は母と生計を同じくしていない児童
●父又は母が死亡した児童
●父又は母が政令で定める障害の状態にある児童※
●父又は母の生死が不明である児童
●父又は母が母又は父の申し立てにより保護命令を受けた児童
●父又は母から引き続き1年以上遺棄されている児童
●父又は母が法令により引き続き1年以上拘禁されている児童
●婚姻によらないで生まれた児童
●父母が不明な場合(棄児等)
※受給資格者は、父障害の場合「母又は養育者」、母障害の場合「父又は養育者」
参照: 東京都福祉保健局「児童扶養手当

また、上述した条件を満たしていても、以下の項目に該当する場合は手当が受けられません。

●児童又は請求者が日本国内に住所を有しないとき
●児童が児童福祉施設等に入所している、里親に委託されているとき
●児童が父及び母と生計を同じくしているとき(父又は母が障害による受給を除く)
●児童が父又は母の配偶者(事実上の配偶者を含む。)に養育されているとき

各自治体によって内容が異なることもあるため、お住まいの地域の条件を確認してみてください。

2-3.児童扶養手当の手続きの流れ

母子家庭(シングルマザー)が児童扶養手当を受けるためには、住んでいる市区町村の自治体で手続きが必要です。

各自治体によって詳細が違いますが、一般的な手続きの流れを以下にまとめました。

1.住んでいる自治体(福祉課、子育て支援課など)で受付
2.「児童扶養手当認定請求書」を記入し、必要書類とともに提出
3.審査後、問題がなければ翌月以降より支給開始

児童扶養手当に際して必要な書類は以下のようなものがありますが、事前に各自治体ごとに確認しておくと良いでしょう。

●申請者名義の預金通帳
●申請者および児童の戸籍謄本(申請事由の記載があるもの及び現在のもの)
●父または母の生死不明・遺棄・拘禁・DV保護命令の理由による場合は、それを証明するもの
●父または母の障害による場合は、所定の診断書(障害基礎年金1級を受給している場合は年金証書)
●賃貸契約書や公営住宅使用(入居)許可書(賃貸の場合)、持家証明(持家の場合)
●申請者、児童及び同居親族の個人番号カード または 個人番号が確認できるもの
●申請者の本人確認書類
参照:東京都北区「児童扶養手当(申請手続き)


3.母子家庭が受けられる児童手当の条件や内容

次に、母子家庭(シングルマザー)のほかに15歳以下の子どもを持つ家庭が受けられる、児童手当について条件や内容を確認していきましょう。こちらも、児童扶養手当と同様に手続きの流れまで解説していますので、しっかりと押さえていってくださいね。

3-1.児童手当の内容

児童手当は、家庭における生活の安定とともに、児童が健やかに成長することを目的とした手当のことをいいます。

母子家庭(シングルマザー)が対象であった児童扶養手当との大きな違いは、「ふたり親世帯も受給の対象になる」ことです。子どもの年齢に合わせて「2月、6月、10月」の年3回にわたり、以下のような金額が支給されます。

年齢 1人あたりの支給額(月額)
0〜3歳未満 一律15,000円
3歳〜小学校終了まで 第1子・第2子:10,000円
第3子以降:15,000円
中学生 一律10,000円
所得制限限度額以上 一律5,000円(特例給付)
参照:「内閣府「児童手当制度の概要」

また、児童手当の支給対象外(特例給付あり)となる所得を表した「所得制限限度額」は、扶養親族の人数によって以下の通りに変動します。

扶養親族等の数 所得額 収入額の目安
0人 6,220,000円 8,333,000円
1人 6,600,000円 8,756,000円
2人 6,980,000円 9,178,000円
3人 7,360,000円 9,600,000円
4人 7,740,000円 10,020,000円
5人 8,120,000円 10,400,000円

3-2.児童手当を受ける条件

児童手当を受ける条件は「15歳になって初めての3月31日を迎えるまでの児童を養育・監護していること」であり、支給対象として以下のようなポイントがあります。

●児童が国内に居住していること(一定条件の留学を除く)
●父母が国内に居住していない場合、児童と同居、監護し、生計を同じくする人が父母から指定された場合「父母指定者」として支給対象
●父母が離婚協議中で別居している場合は、児童と同居している方に支給(単身赴任による別居は通常通り「生計を維持する程度の高い者」が支給対象)
●児童が児童養護施設等に入所、里親等に委託されている場合は、施設の創設者、里親が支給対象
●原則として収入の高い方が「生計を維持する程度の高い者」として支給対象(平成24年6月から実施)
参照:東京福祉保健局「児童手当」

基本的には、所得制限限度額以下の年収の家庭は支給対象となるため、母子家庭(シングルマザー)の方も所得に合わせて児童手当を利用できます。

3-3.児童手当の手続きの流れ

児童手当は、出生や転入によって受給資格を得た場合に申請でき、住んでいる市区町村の自治体窓口で手続きが必要です。
一般的な手続きの流れを以下に挙げましたが、各自治体によって異なる場合があるため、事前に問い合わせることをおすすめします。

1.住んでいる自治体(福祉課、子育て支援課など)で受付
2.「認定請求書」と必要書類を提出(公務員の場合は職場で申請)
3.提出した日の属する月の翌月分から支給開始

また、 申請の際に必要な書類の例は以下です。こちらについても、各自治体で必要書類を確認してみてください。

●児童手当認定請求書
●申請者の健康保険証
●申請者名義の口座がわかるもの
●申請者および配偶者の個人番号カードまたは個人番号が確認できるもの
●申請者の本人確認書類
●代理人が申請する場合は、代理人の本人確認書類および委任状
参照:東京都北区「児童手当(申請手続)

4.そのほかに母子家庭で受けられる7つの手当とは?条件や内容をご紹介

児童扶養手当と児童手当について内容を解説してきましたが、ここからはそのほかに母子家庭(シングルマザー)が受けられる手当について、7つ紹介します。
それぞれの条件や内容を確認し、制度をうまく利用していくことで、母子家庭(シングルマザー)の暮らしの安定や自立に繋げていけるでしょう。

母子家庭(シングルマザー)が受けられる手当や制度について、一覧で確認したい方は以下の記事をご覧ください。
シングルマザー(母子家庭)が利用できる手当・支援制度のまとめ

4-1.児童育成手当

児童育成手当とは、18歳になって初めての3月31日までの間にある児童を養育している、母子家庭や父子家庭に支給される手当です。

制度 児童育成手当
支給額 児童1人につき、月額13,500円
支給方法 6月、10月、2月の年3回で口座振込
申請先 区市町村の窓口
参照:東京都北区「児童育成手当(申請手続)」

また、児童育成手当には所得制限があり、以下のように決められています。

扶養人数 所得限度額
0人 3,684,000円
1人 4,064,000円
2人 4,444,000円
3人 4,824,000円
4人 5,204,000円
参照:東京都北区「児童育成手当(所得限度額)」

4-2.医療費助成制度

医療費助成制度とは、正しくは「ひとり親家庭等医療費助成制度」といい、母子家庭や父子家庭が経済的負担を減らすための制度です。
親またはその子どもが医療機関を利用した際に制度を利用することができ、医療費の一部が各自治体より支給されます。
医療費助成制度が対象となるのは、母子家庭や父子家庭で子どもが18歳になってから初めての3月31日を迎えていない場合に限られます。

母子家庭(シングルマザー)で医療費を抑えるための制度やその他の助成制度について、詳しくは以下をご覧ください。
シングルマザー家庭で医療費を抑える方法|ひとり親家庭等医療費助成制度

4-3.住宅手当

母子家庭(シングルマザー)が利用できる住宅手当とは、市区町村が独自で実施している家賃補助のような制度のことをいいます。
基本的には、以下の項目に該当する方が支給対象となります。

●母子家庭または父子家庭である
●20歳未満の子どもを養育している
●民間アパートに住んでいて、住民票が申請先住所地にある
●生活保護を受けていない
●申請先住所で6ヶ月以上生活している
●前年度所得が所得制限限度額に満たない
条件や支給金額は各自治体によって異なるため、お住まいの地域で確認してみてください。

母子家庭(シングルマザー)が受けられる住宅手当について、詳しくは以下の記事で解説しています。
シングルマザー(母子家庭)が受けられる住宅手当・家賃補助/助成

4-4.特別児童扶養手当

特別児童扶養手当とは、精神や身体に障がいを持っている児童がいる家庭が受給できる手当です。支給内容について、以下に簡単にまとめました。

制度 特別児童扶養手当
条件 20歳未満で精神又は身体に障害を有する児童を扶養している家庭
支払い時期 4月、8月、12月の年3回
厚生労働省「特別児童扶養手当について」

母子家庭(シングルマザー)に関わらず、所得制限限度額以下で対象の児童がいる家庭であれば手当を受けられるため、該当する方はチェックしてみてください。

4-5.障害児福祉手当

障害児福祉手当とは、日常生活で常に介護を必要とする、在宅の20歳未満の児童に対して支給される手当のことをいいます。
特別児童扶養手当と同様に、母子家庭(シングルマザー)に関わらず、対象の家庭であれば手当を受けられるため、該当する方は以下の要件を参考にしてみてください。

制度 障害児福祉手当
条件 日常生活において、常時の介護を必要とする状態にある在宅の20歳未満の者
支給金額(月額) 14,880円
支払時期 2月、5月、8月、11月の年4回
参照:厚生労働省「障害児福祉手当について」

4-6.生活保護

生活保護は、母子家庭(シングルマザー)を問わず、生活に困っている家庭に対して国が最低限度の生活を保障し、自立を支援する制度のことです。
母子家庭(シングルマザー)のなかには、やむを得ず働けなかったり、生活していくために必要な収入がなかったりすることもあるでしょう。どうしても生活していくことが厳しくなった場合は、生活保護という選択肢もあります。

しかし、生活保護は受給条件が厳しく、申請すれば制度を受けられるとは限りません。生活保護を受けるために必要な条件や内容、申請方法などは以下の記事をご覧ください。
シングルマザー(母子家庭)の生活保護の金額や条件と申請方法

4-7.遺族年金

母子家庭(シングルマザー)が利用できる手当として、父か母のどちらかが死亡した際に受け取れる遺族年金があります。

遺族年金には「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の2種類があり、違いは以下の通りです。

●遺族基礎年金:定額+子どもの人数に合わせた加算額を受給
●遺族厚生年金:死亡者の年金の加入期間や給与から算出された金額を受給

遺族年金について、詳しくは以下の日本年金機構のホームページをご覧ください。
日本年金機構「遺族年金」

5.まとめ|利用できる手当の条件を確認し、賢く制度を活用しよう

今回メインに紹介した母子家庭(シングルマザー)が利用できる手当である、「児童扶養手当(母子手当)」と「児童手当」の違いは以下です。

<児童扶養手当(母子手当)>
●ひとり親家庭が対象
●子どもの年齢は18歳まで
●年収に応じて1人あたり最大43,160円が支給

<児童手当>
●児童を養育するすべての家庭が対象
●子どもの年齢は15歳まで
●子どもの年齢に応じて一律支給
●所得制限限度額を超えると対象外(特例給付あり)

児童扶養手当と児童扶養手当は、どちらも各市区町村の自治体で申請できるため、気になる方は相談してみましょう。
また、そのほかに母子家庭(シングルマザー)が受けられる手当についても紹介しましたので、該当する制度を上手く活用してみてください。
母子家庭(シングルマザー)が受けられる制度や手当は、各自治体によって詳細が異なるものが多いため、手当の受給を検討している方はお住まいの地域の要件を事前に確認しておくと良いでしょう。

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