シングルマザー(母子家庭)の保険選び|賢い選び方とおすすめの保険5選

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シングルマザー(母子家庭)の保険選び|賢い選び方とおすすめの保険5選

最新の統計によると、子育てをするシングルマザー・シングルファザーは141.9万世帯に上るとされています(参考:平成28年度ひとり親世帯等調査)。ひとり親を支える仕組みづくりも進んでいますが、まだまだ多くの家庭が生活に困窮している状況です。

たったひとりで自分と子どもを養う以上、「もしも自分の身に何か起きたら」と将来に不安を覚えるのも無理はありません。当面のリスクに備えるためには、民間保険に加入することも大切です。

そこで今回は、シングルマザーの「保険」についてまとめました。保険選びのポイントからおすすめの保険まで、気になる情報を解説します。保険加入で迷っている方はもちろん、本当に保険が必要なのか分からない方も、本記事を参考にライフプランを見直してみましょう。

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1.シングルマザー(母子家庭)に保険は必要なのか

実のところ、すべての方が保険に入ればいいというわけではありません。年齢やライフスタイルが同じでも、それぞれの経済状況によって保険に支払える額が異なるからです。

不安や焦燥に駆られ、必要のない保険にまで入ってしまうと、毎月の負担額が大きくなります。保険料の支払いに追われた結果、お金を貯蓄に回せないのでは本末転倒です。

保険を選ぶ上で大切なのは、「必要保障額」の算出。自身に万が一のことがあったとき、その後の生活や子育てにかかる費用を把握するようにしてください。必要保障額をシミュレーションするために、「母子家庭の生活費」と「子どもの教育費」の目安を見ていきましょう。

1-1.母子家庭の生活費

厚生労働省が5年おきに実施している「全国ひとり親世帯等調査」によると、シングルマザーの平均年収は243万円となっています。ただし、これは各種手当を含んだ数字であり、実際の労働収入は200万円です。

シングルマザー シングルファザー
平均年間収入 243万円(223万円) 420万円(380万円)
平均年間就労収入 200万円(181万円) 398万円(360万円)
※()内は平成23年の調査結果
参考:平成28年度 全国ひとり親世帯等調査結果報告

2参考として、女性全体の平均年収は293万円です(参考:平成30年分民間給与実態統計調査結果について)。前回の調査よりも増加したとはいえ、シングルマザーの平均収入は低い水準にあると言わざるを得ません。また、2019年の「全国家計構造調査」によると、母子家庭における1ヶ月あたりの平均支出額は次の通りです。
全国家計構造調査

上記の通り平均支出額は198,267円。こうなると平均年収の243万円でやりくりするのはギリギリで、貯蓄に回す余裕はほとんどありません。保険を選ぶ上では、できるだけ家計を圧迫しないよう気をつける必要があります。

なお、シングルマザーの生活費について詳しく知りたい方は、「母子家庭(シングルマザー)の生活費と収入の平均と内訳」の記事をご覧ください。具体的なシミュレーションを通して、生活費の平均を解説しています。

1-2.子どもの教育費

続いて、子どもの教育にかかるお金を見ていきます。以下の表は、幼稚園から高校にかけて、1年間にかかる教育費の平均をまとめたものです。

幼稚園 小学校 中学校 高等学校(全日制)
区分 公立 私立 公立 私立 公立 私立 公立 私立
学費 223,647円 527,916円 321,281円 1,598,691円 498,397円 1,406,433円 457,380円 969,911円

上記の表をもとに、子ども1人の成長に必要な教育費の総額を求めてみましょう。たとえば、幼稚園から高校まですべて公立に通わせた場合、教育費は次のようになります。

公立幼稚園(3年) 公立小学校(6年) 公立中学校(3年) 公立高校(3年) 合計
学費 約67万円 約192万円 約146万円 約137万円 約542万円

このように、高校卒業までの15年間で約542万円の教育費が必要です。さらに、国公立大学に進学した場合は追加で約500万円がかかるため、教育費の総額は1,000万円前後。私立の学校に通わせる場合は2,000万円前後が必要になります。

1-3.必要保障額

「母子家庭の生活費」と「子どもの教育費」の平均が分かったところで、もしもの時に必要となる保障額を見極めていきましょう。

たとえば、中学入学を控えた子どもが1人いる世帯を想定してみます。シングルマザーであるあなたが倒れた場合、子どもが高校を卒業するまでの少なくとも6年間は保障が必要です。

このとき、6年間の生活費は「20万円×12×6=1440万円」。教育費は「146万円+137万円=283万円」。あわせて1,723万円が見込まれる計算となります。この1,723万円が、もしもの時に不足するお金、つまり「必要保障額」です。

ただし、実際には後述する公的制度や親族の援助などが期待できるため、収入のすべてを保険でカバーする必要はありません。すでにある程度の貯蓄がある方は、そのまま将来の備えとすることもできます。

とはいえ、保険選びの第一歩として、大まかな必要保障額を知ることはとても大切です。より厳密なライフプランを設計したい方は、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談するといいでしょう。

なお、当社が運営する「wacca」では、ひとり親世帯に向けた「お金のヘルプ」と「心のヘルプ」を提供しています。保険に関する相談もできますので、まずはお気軽にご利用ください。

2.シングルマザー(母子家庭)が保険を選ぶ際のポイント

ここまで見てきたように、母子家庭の多くは限られた収入でやりくりをしています。そのため、保険を選ぶ上では月々の負担を減らす工夫が必要です。主なポイントとして、以下の3つを押さえておきましょう。
・遺族年金を踏まえて必要保障額を考える
・各種手当など公的制度の利用を検討する
・払込期間を長くして毎月の負担額を減らす

それぞれの項目について、以下で詳しく解説します。

2-1.遺族年金を踏まえて必要保障額を求める

シングルマザーの中には、もしもの時に備えて死亡保険に加入している方も多いでしょう。死亡保険に申し込む前に、「遺族年金」をベースに必要保障額の計算をしてください。

遺族年金とは、年金の加入者が死亡したとき、遺された子どもが毎月一定額の年金をもらえる制度のことです。期間は子どもが18歳を迎えた後の3月31日まで。子どもの数が1人の場合は年間781,100円、2人の場合は年間1,005,600円が最低でも支給される計算です。

さらに、会社員で厚生年金に加入していれば、子どもはより多くの遺族年金を受け取れます。いわゆる「2階建て」の仕組みにより、通常の国民年金に厚生年金の分が上乗せされるからです。

年金制度 加入対象者 遺族年金の種類 年金額/th>
厚生年金(+国民年金) 会社員や公務員 遺族厚生年金(+遺族基礎年金) 加入期間や平均収入により異なる
国民年金 20〜60歳の全国民 遺族基礎年金 781,700円 + 子の加算

この遺族年金に、現在の貯蓄や親族から見込める援助などを加味した金額が、遺された子どもの収入となります。それでも不足する分(必要保障額)を、死亡保険などでカバーするようにしましょう。

2-2.各種手当など公的制度の利用を検討する

民間保険への加入を考える前に、まずは公的制度でどれくらいの手当がもらえるか把握しておきましょう。

ひとり親(シングルマザー・シングルファザー)家庭が利用すべき制度としては、以下のようなものがあります。

公的制度 内容
児童扶養手当 ひとり親世帯に対して毎月一定額を支給
ひとり親家庭等医療費助成制度 ひとり親世帯の親子を対象に医療費の一部を負担
住宅手当 マンションやアパートの家賃を一部補助(自治体により異なる)
就学援助制度 就学困難な児童がいる家庭に対し学用品費などを援助
高等学校就学支援金制度 困窮する家庭に対して高校(私立含む)の学費を援助
遺族年金 加入者が死亡した際に遺族に対して年金を支払う

これらの制度を利用することにより、子どもの教育費や生活費にかかる負担を大幅に減らすことが可能です。

公的制度の詳しい情報は、「母子家庭(シングルマザー)が利用できる手当・支援制度のまとめ」をご覧ください。

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2-3.払込期間を長くして毎月の負担額を減らす

生命保険の場合、「払込期間」 を長めに設定することで、月々の保険料負担を減らせる可能性があります。払込期間とは、契約者が保険料を支払う期間のことです。生命保険によっては、この払込期間を複数から選べるようになっています。

たとえば、払込期間を「60歳まで」よりも「65歳まで」に設定した方が(さらに言えば「終身払い」に設定した方が)月々の保険料を抑えることが可能です。ただし、払込期間を長く設定すると、それだけ保険料の払込総額が増えます。契約途中での変更も可能なので、収入とのバランスを考慮しつつ期間を見直すといいでしょう。

3.シングルマザー(母子家庭)におすすめの保険

ここからは、シングルマザーにおすすめの保険を5つ紹介します。各保険の特徴は分かりやすく表にまとめました。保険料の支払いで家計が圧迫されないように、本当に必要なものにのみご加入ください。

3-1.収入保障保険:万が一のとき子どもが暮らしていくために

項目 内容
保険タイプ 掛け捨て型
特徴 ・契約者が死亡などした場合に毎月一定額が支払われる
・年数を重ねるにつれて受け取れる保険金の総額が減少する
こんな方におすすめ 手頃な保険料で万が一の場合に備えたい

収入保障保険は、契約者である親が死亡などした場合、毎月一定額の保険金を受け取れる保険です。いわゆる死亡保険の一種ですが、通常の定期保険と異なり、時間とともに受け取れる保険金が減っていきます。

一例を挙げると、40歳で死亡した場合は総額1,200万円を受け取れるのに対し、50歳で死亡すると総額600万円しか受け取れないケースが想定されます。このように保険金が減少する代わりに、通常の定期保険よりも保険料を割安に設定しているのが収入保障保険の特徴です。

多くの場合、子どもは成長するにつれて生活費や教育費がかからなくなり、最終的には社会人として独立します。したがって、徐々に保険金が減っていく収入保障保険とは相性がいいのです。「もしもの場合に備えたいが、保険料はできるだけ抑えたい」という方には、収入保障保険のご検討をおすすめします。

3-2.学資保険:子どもの進学に備えるために

項目 内容
保険タイプ 貯蓄型
特徴 ・子どもの成長に合わせて学資を受け取れる
・親が死亡したときの保障が付帯する
こんな方におすすめ 子どもの進学に向けてまとまったお金を用意したい

学資保険は、子どもの教育資金を貯めるための保険です。場合によっては「こども保険」などの商品名で販売されていることもあります。

貯蓄型となっており、多くは子どもが一定の年齢を迎えた時点で保険金を受け取れる仕組みです。プランによっては、小学校・中学校・高校・大学の入学時にお祝い金を受け取れることもあります。

前述したように、子どもが高校を卒業するまでに必要な教育費は最低500万円。大学進学となれば、最低1,000万円は必要です。

これだけの教育費を貯めるには、早い段階からの資金計画が欠かせません。学資保険に入ることで、毎月の積み立てを自動化できるメリットがあります。また、もうひとつのメリットとして、学資保険には保障機能が付帯しています。これは万が一、契約者である親が死亡したときでも、本来のタイミングで子どもが保険金や祝い金を受け取れるという仕組みです。

子どもの進路に向けた貯蓄をしつつ、自身に何か起きた場合に備えたいのであれば、学資保険の加入をご検討ください。

3-3.医療保険:自身の病気やケガに備えるために

項目 内容
保険タイプ 掛け捨て型・貯蓄型
特徴 ・入院や手術などの費用を保障してもらえる
・県民共済なら月掛金2,000円~で加入できる
こんな方におすすめ パートやアルバイトで職場の健康保険に加入していない

医療保険は、病気やケガに備えるための保険です。入院や手術となった場合に、一定額の保障を受けられます。

日本には公的医療保険(健康保険など)があるため、民間医療保険の優先度はそこまで高くありません。とりわけシングルマザーの場合は、「ひとり親家庭等医療費助成制度(マル親)」を利用できます。

ひとり親家庭等医療費助成制度とは、ひとり親家庭を対象に医療費の一部を負担してもらえる制度です。子どもだけでなく親も助成の対象となるため、すでに利用されている方も多いのではないでしょうか。

ただし、ひとり親家庭等医療費助成制度もけっして万能ではありません。入院中の食費や1人部屋のベッド代は自己負担となる上に、先端医療を受けるための治療費も制度の対象外です。また、パートやアルバイトなど国民健康保険に加入している方は傷病手当金を受け取れないため、病気やケガで収入ゼロになるリスクがあります。

万が一のときに子どもを養えなくなる不安がある方は、医療保険で十分な備えをするといいでしょう。なお、できるだけ保険料を抑えたい方は、県民共済への加入もご検討ください。入院保障の月掛金は2,000円(東京)と、一般の医療保険より手頃な価格で加入できます。

3-4.がん保険:女性特有の病気に備えるために

項目 内容
保険タイプ 掛け捨て型・貯蓄型
特徴 ・乳がんや子宮頸がんを保障する女性向けのがん保険もある
・診断給付金を生活費や教育費に回せる
こんな方におすすめ 保険料が多少増えても手厚い保障を受けたい

がん保険は、文字通り「がん」への備えに特化した保険です。乳がんや子宮頚がんは若い女性も患う病気のため、早い段階からしっかりと備えておく必要があります。

また、がんの治療は長期戦となることから、仕事への影響を覚悟しなければなりません。がんと診断されたときに受け取れる診断給付金(一時金)なら、治療費はもちろん、当面の生活費に充てることも可能です。

現在は女性向けのがん保険が多く登場しており、乳がんや子宮頸がんに対して手厚い保障をしてもらえます。ただし、保険料も高くなる傾向にあるため、収入とのバランスを考慮してください。

3-5.就業不能保険:長期にわたり働けなくなったときのために

項目 内容
保険タイプ 掛け捨て型
特徴 ・医療費だけでなく生活費や教育費までカバーできる
・プランによっては高齢になるまで保障を受けられる
こんな方におすすめ 自営業やフリーランスで長期の病気に備えたい

就業不能保険は、病気やケガで働けなくなった場合に、長期にわたり保険金を受け取れる保険です。医療保険が入院状態に基づくのに対し、就業不能保険は「就業不能」状態に基づき保障をします。別の言い方をすると、治療費ではなく生活費そのものを保障してくれる点が就業不能保険の特徴です。

脳疾患や糖尿病などの生活習慣病は、入院後の自宅療養期間まで長引く傾向にあります。仕事ができなくなったことによる収入減少は、傷病手当金などの公的保障だけではとてもカバーできません。

就業不能保険は保障期間が長く、プランによっては70歳まで対応できるものもあります。子どもの教育費や生活費など、最低限の支出を維持するために便利な保険です。

ただし、就業不能保険はそれぞれ保障対象が異なります。特にうつ病などの精神疾患については対象外となるケースも多く、加入の際は注意が必要です。

4.シングルマザー(母子家庭)は社会保険料が免除される?

ここまで民間の保険を紹介してきました。あわせて気になるのが、健康保険や厚生年金保険といった社会保険です。社会保険料は、どうしても家計を圧迫しがちです。母子家庭に限って見ると、毎月支出している社会保険料は平均21,270円という統計結果が示されています(2019年全国家計構造調査)。

生活が困窮しているシングルマザーも、およそ2万円の社会保険料を払わなければならないのでしょうか。

結論を言えば、ひとり親家庭だからといって健康保険・厚生年金保険の保険料が免除されることはありません。ただし、収入が一定の基準を満たさない方であれば、保険料の減免申請を行うことができます。

減免制度 問い合わせ先
国民健康保険 経済的に困難な場合、保険料を免除および減免できる お住まいの市区町村窓口
厚生年金保険 経済的に困難な場合、保険料を免除および猶予できる 最寄りの年金事務所

いずれの制度も、該当する方はお早めにお申し込みください。

5.まとめ

今回はシングルマザーの「保険」について解説しました。記事のまとめとして、保険を選ぶ上で大切なポイントは以下の通りです。

・遺族年金を踏まえて必要保障額を考える
・各種手当など公的制度の利用を検討する
・払込期間を長くして毎月の負担額を減らす

保険料を支払うよりも、その分を貯蓄に回した方がいいケースも考えられます。まずは焦らず、いまの収入と将来に必要となる備えを書き出してみましょう。一人ひとりに合ったライフプランが必ず見つかるはずです。

私たちが運営する「wacca」では、シングルマザー・シングルファザーに向けて「お金のヘルプ」と「心のヘルプ」を提供しています。保険選びに関して悩みや疑問がある方は、ぜひコミュニティにご参加ください。ひとり親のメンバーや専門性を持つサポーターたちが、さまざまな観点からアドバイスをいたします。

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