シングルマザー(母子家庭)の仕事の選び方と探し方
シングルマザー(母子家庭)として仕事をする際、どんな仕事を選べばいいの?どうやって仕事を探せばいいの?他の人は何してるの?と悩むことがあるかと思います。今の仕事を辞めたい、でもなかなか見つからない。今回は、仕事探しをしているシングルマザー(母子家庭)の方々のために、子供との大切な時間を持ちつつ、生活していく収入を得るための仕事の選び方、仕事の探し方をご紹介します。
1.他のシングルマザー(母子家庭)の仕事や契約形態の実態
まず、他のシングルマザー(母子家庭)の方々はどんな仕事の契約形態(正社員、アルバイト・パートなど)で、それぞれどんな仕事をしていて、仕事の収入はどれくらいで、そしてどうやってその仕事を選んだのでしょうか。
1-1.シングルマザー(母子家庭)の契約形態と子供の年齢に応じた変化について
厚生労働省による平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告によると、シングルマザー(母子家庭)の仕事における契約形態は44.2%が正社員、43.8%がパート・アルバイトとなっており、その2つが大半を占めています。
総数 | 就業している | 正規の職員・従業員 | 派遣社員 | パート・アルバイト等 | 会社などの役員 | 自営業 | 家族従業者 | 不就業 | 不明 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2060(100%) | 1,685(81.8%) | 745(44.2%) | 78(4.6%) | 738(43.8%) | 16(0.9%) | 57(3.4%) | 9(0.5%) | 193(9.4%) | 182(8.8%) |
出典 厚生労働省による平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告
そして、仕事の契約形態の分布は子供の年齢に応じて変化しています。具体的には、末子の年齢が高くなるにつれ契約形態がパート・アルバイトから正社員に変化していることがわかります。
[シングルマザー(母子家庭)における末子の年齢毎の契約形態の変化]
総数 | 0〜2歳 | 3〜5歳 | 6〜8歳 | 9〜11歳 | 12〜14歳 | 15〜17歳 | 18〜19歳 | 不明 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
正規の職員・従業員 | 745(44.2%) | 24(33.8%) | 79(41.8%) | 39(34.6%) | 118(43.7%) | 162(49.1%) | 174(47.4%) | 88(48.6%) | 11(55.0%) |
パート・アルバイト等 | 738(43.8%) | 37(52.1%) | 87(46.0%) | 139(54.1%) | 124(45.9%) | 127(38.5%) | 153(41.7%) | 63(34.8%) | 8(40.0%) |
出典 厚生労働省による平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告
正社員になりたい理由として考えられるのは、安定した仕事からの収入、雇用保障や福利厚生などが考えられます。実際シングルマザー(母子家庭)における正社員とパート・アルバイト等での収入の差異を見てみると、正社員の平均就労収入が305万円/年に対し、パート・アルバイト等での平均終了収入は133万円/年と大きな差が見られます。
総数 | 100万円未満 | 100〜200万円未満 | 200〜300万円未満 | 9〜400万円未満 | 400万円以上 | 平均年間就労収入 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
正規の職員・従業員 | 544(100.0%) | 21(3.9%) | 119(21.9%) | 171(31.4%) | 117(21.5%) | 116(21.3%) | 305万円 |
パート・アルバイト等 | 552(100.0%) | 116(30.1%) | 292(52.9%) | 79(14.3%) | 13(2.4%) | 2(0.4%) | 133万円 |
それであっても、パート・アルバイト等を契約形態として選択する理由は何でしょうか。
2010年と少し古いものですが独立行政法人 労働政策研究・研修機構の周氏による「母子世帯の母親はなぜ正社員就業を希望しないのか」」という論文にその原因が記載されており、それが 「育児制約」と「資格・能力不足」でした。
前者は、仕事より子供と過ごす時間を大切にしたいや、正社員だと残業や急な休みが取りにくいなど保育園や学校との折り合いのつきにくさから正社員就業を希望しない、または諦めたケース。後者は、例えば本人の年齢が高く職が探しにくい、学歴や職業経験が不足しているなどの理由で正社員就業が難しいということが挙げられています。
後述する、契約形態はどれを選ぶべきか、という論点についてはこういった事情を考慮のうえ、自ら現実的な解を見いだすことが大切と考えます。
1-2.シングルマザー(母子家庭)の仕事の内容について
契約形態の傾向が見えたところで、次にシングルマザー(母子家庭)の仕事の内容はどのようなものが多いのでしょうか。全体では、事務(23.5%)、サービス職業(22.3%)、専門的・技術的職業(20.4%)となっています。ただ、これを契約形態毎に分類してみるとその特色が見えてきます。正社員の傾向をみると、事務職(31.7%)と専門的・技術的職業(30.5%)の仕事が多く、一方でパート・アルバイト等をみるとその割合はサービス職業(32.8%)とその割合が高くなる傾向があります。
総数 | 正社員 | パート・アルバイト等 | |
---|---|---|---|
総数 | 1,685(100.0%) | 745(100.0%) | 738(100.0%) |
管理的職業 | 41(2.4%) | 29(3.9%) | 4(0.5%) |
専門的・技術的職業※1 | 343(20.4%) | 227(30.5%) | 83(11.2%) |
事務※2 | 396(23.5%) | 236(31.7%) | 112(15.2%) |
販売 | 142(8.4%) | 43(5.8%) | 94(12.7%) |
サービス職業※3 | 375(22.3%) | 109(14.6%) | 242(32.8%) |
保安職業 | 2(0.1%) | 2(0.3%) | 0 |
農林職業 | 7(0.4%) | 0 | 2(0.3%) |
生産工程 | 145(8.6%) | 47(6.3%) | 80(10.8%) |
輸送・機械・運転 | 5(0.3%) | 3(0.4%) | 1(0.1%) |
建設・採掘 | 2(0.1%) | 1(0.1%) | 1(0.1%) |
運搬・清掃・包装等 | 66(3.9%) | 9(1.2%) | 52(7.0%) |
その他 | 161(9.7%) | 40(5.2%) | 74(9.0%) |
出典 厚生労働省による平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告
総務省日本職業分類による職種の定義
※1:専門的・技術的職業とは、高度の専門的水準において、科学的知識を応用した技術的な仕事に従事するもの、及び医療・教育・法律・宗教・芸術・その他の専門的性質の仕事に従事するものを指す。例えば、研究者、システム・医療などの各種技術者、医師・薬剤師、看護師、保育士、栄養士、弁護士、公認会計士、税理士、教員、記者など。
※2: 事務職とは一般に課長(課長相当職を含む)以上の職務にあるものの監督を受けて、庶務・文書・人事・調査・企画・会計などの仕事、並びに生産関連・営業販売・外勤・運輸・通信に関する事務及び事務用機器の操作の仕事に従事するものを指す。
※3:サービス職業とは個人の家庭における家事サービス、介護・身の回り用務・調理・接客などの個人に対するサービスをさす。例えば、家政婦、介護職員、看護・歯科助手、理・美容師、調理師・ウェイター・接客業、マンション管理人、など。
1-3.シングルマザー(母子家庭)が仕事を探す際に求めること
ここまでで、大枠の傾向が見えてきましたが、実際仕事探しの際に求めていることは何でしょうか。直接的な回答にはなっていませんが、シングルマザー(母子家庭)が、シングルマザー(母子家庭)になったことを契機とした転職についてその理由を調査したデータがあり、それが参考になるかと思います。
1番は「仕事の収入が良くない」、2番は「仕事の労働時間が合わない」。前者は日々の生活費、将来の教育資金や老後のことを考えたときに収入が足りないから、そして後者は、子供との時間や保育園・学校対応を考えたときに時間をフレキシブルに使えないといったことが具体的な理由として考えられます。
つまり、シングルマザー(母子家庭)が仕事に求めることは、大きく「収入」と「フレキシブルな時間での勤務」です。
[シングルマザー(母子家庭)が仕事を変えた理由]
項目 | 数 |
---|---|
総数 | 710(100.0%) |
収入がよくない | 270(38.0%) |
労働時間が合わない | 88(12.4%) |
勤務先が自宅から遠い | 70(9.9%) |
自営業等で就業していたが離婚したため | 46(6.5%) |
健康が優れない | 34(4.8%) |
身分が安定しない | 18(2.5%) |
職場環境に馴染めない | 12(1.7%) |
休みが少ない | 9(1.3%) |
経験や能力が発揮できない | 6(0.8%) |
仕事の内容が良くない | 5(0.7%) |
その他 | 120(17.3%) |
出典 厚生労働省による平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告
傾向をまとめると、シングルマザー(母子家庭)は、ひとりで子育てをするため「収入」を求める一方で特に子供が小さいうちは急に病気になるなどがあるためできるだけ「フレキシブルに時間調整が可能な職場」を求めている。
収入だけを考えると正社員になるのが良いものの、後者の理由でまずはパート・アルバイト等で暮らしつつ、子供が大きくなるにつれ、正社員に契約形態を変えていくシングルマザー(母子家庭)が一定程度存在。ただし、子供が大きくなった際に正社員になろうと思った際に、その年齢やスキルの問題から就職しにくい状況に直面するシングルマザー(母子家庭)もいる。となるかと考えます。
2.シングルマザー(母子家庭)の契約形態はどうすべきか
ここまでの事実を見た上で、ではどういう契約形態にすべきか、という点につき考察を進めます。あくまでも一般論ですが収入を優先するなら正社員契約、そうではなくフレキシブルに調整可能な仕事時間を優先するならパート・アルバイト等ということになるかと思います。
シングルマザー(母子家庭)という環境になる以前から正社員として勤務し、シングルマザー(母子家庭)となった以降も「時間」という観点から問題なく生活できる場合は除き、まずはパートで子供を育てる時間を最優先。生活においては国や自治体の支援があり、「シングルマザー(母子家庭)の生活費と収入の平均と内訳について」で紹介しています手当などを受けつつ生活し、子供が大きくなってきて正社員の勤務時間でも問題なくなってきたら、老後の生活資金の貯金などを考え、正社員に転職するというアプローチがよいのではないでしょうか。
ただ、正社員になる際にネックとなりうる事象を減らし、可能な範囲で収入を上げていくという必要もあります。ですので、パート・アルバイトなどで子供を育てつつ、並行してその時期に国や自治体の支援・援助・手当を受けながら資格取得をお勧めします。詳しくは、別記事「シングルマザー(母子家庭)におすすめの資格ランキング」をご覧ください。
なお、パート・アルバイトであっても、一定の条件を満たす場合、社会保険(健康保険・介護保険・厚生年金保険)、および労働保険(雇用保険・労災保険)は雇用主に加入の義務が生じますので、会社を選ぶ際にご確認ください。
3. シングルマザー(母子家庭)の仕事先(会社)や職種・職業の選び方
働き方のイメージを整理したところで、次にどのような会社を選び、そしてどのような職種・職業を選んでいくべきなのでしょうか。
3-1.シングルマザー(母子家庭)の仕事先(会社)の選び方
まず、仕事先(会社)の選び方です。その基準は、「1.最低限の収入が維持できること」「2.勤務時間をフレキシブルに調整しやすいこと」「3.勤務先が近いこと」「4.シングルマザー(母子家庭)に対する理解があること」そして可能であれば何かしらの「5.シングルマザー(母子家庭)向けの手当」があること、この5つです。
1.最低限の収入が維持できること:これは生活の維持のために必須の条件です。一般的な生活費やその手当については「シングルマザー(母子家庭)の生活費と収入の平均と内訳について」、子供の教育費に関する貯金については「シングルマザー(母子家庭)の目標貯金額と貯金方法」にまとめましたのでそちらをご覧いただきつつ、毎月の家計費を振り返って最低限必要な収入をまずは計算してみてください。
2.勤務時間をフレキシブルに調整しやすいこと:これはパート・アルバイト等を契約形態として選択するのもそうですが、実際に会社の面接の際に聞いて確認するのがよろしいかと考えます。
3.勤務先が近いこと:特に子供が小さいうちは、熱が出て子供を預けている保育園から連絡がきてお迎えをお願いされるなど、急に対応が必要なこともありますし、日々の生活の中で通勤時間が短い方が体への負担が少ないです。
4.シングルマザー(母子家庭)に対する理解があること:上記の転職の理由に「職場環境に馴染めない」とあるように、シングルマザー(母子家庭)に理解のある環境、同じ境遇にいる方がいる環境というのは心理的な負担も少なく、より働きやすいことから、考慮すべき項目かと思います。
5.シングルマザー(母子家庭)向けの手当:会社によってはシングルマザー(母子家庭)への手当を出している会社もあります。「シングルマザー手当」というキーワードで、例えば、indeedなどの求人情報検索サイトで検索すると、そういう会社が出てきます。他4つの条件が同じであれば、手当がつく会社の方がいいですね。
パート・アルバイト等として勤務する際は5つを意識し、正社員として勤務する際は収入面を意識しつつ、そのほか2〜4についてはその時の状況に応じて確認などをする形か良いと考えます。
3-2.シングルマザー(母子家庭)の職種・職業の選び方
職種・職業については、「1.収入をより高く継続的に得られるもの」、そして「2.自分の体や気持ちに無理なくできるもの」との2つかと考えます。
1.収入をより高く継続的に得られるもの:収入は一時的に高いだけではダメで、継続的にその収入が得られることが大切です。専門性を高め収入を上げて、それを継続的に得ていくという観点では、資格が有効です。それについては「シングルマザー(母子家庭)におすすめの資格ランキング」をご覧ください。
2.自分の体や気持ちに無理なくできるもの:一方でこれも大切ではないでしょうか。毎日自分の気持ちや体に負担をかけた仕事は、ずっとは続けられません。もしそれで体などを壊したらそれこそ収入を失ってしまう自体に陥ります。贅沢はなかなか言ってられない状況かもしれませんが、この観点も大切に職業・職種選びをしていただきたく思っています。
4.シングルマザー(母子家庭)の仕事探しのためのサービス
どのような契約形態にするか、どういう基準で会社を選ぶか、どういう基準で職種・職業を選ぶかということまでを整理しました。では最後にどうやって求人情報を探すか、いくつかご紹介します。
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その他、Googleで検索すると様々なサイトが出てきますのでまずは色々問い合わせをしてみてください。
5.まとめ
この記事では、シングルマザー(母子家庭)がどんな契約形態でどのような仕事をなぜしているのかを調査しました。
その上で、自分にあった会社や仕事を見つけるための基準を整理し、仕事を探す際のサイトやサービスを紹介しました。まさに今仕事を探されている方、または転職などに興味をお持ちの方も、一度条件を整理して探すと効率的に仕事が探せるかと思います。
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