シングルマザー(母子家庭)の再婚事情|必要な手続きと注意点を解説

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シングルマザー(母子家庭)の再婚事情|必要な手続きと注意点を解説

シングルマザー(母子家庭)として生きることを決意したものの、子育てと仕事の両立に苦労される方は少なくありません。子どもと自分自身の将来を考えるとき、心の支えとなるパートナーとの「再婚」も選択肢のひとつになります。

「今は再婚なんて考えられない」と思われるかもしれませんが、再婚に関する知識を持っておくだけで、心にゆとりを持てるはずです。

そこで今回は、これからパートナーを迎え入れるシングルマザー(母子家庭)に向けて、近年の再婚事情や再婚に必要な手続きなどをまとめました。

近く再婚を考えている方も、まだ再婚への一歩を踏み出せずにいる方も、ぜひ本記事を通して知識を深めてください。

1.シングルマザー(母子家庭)の再婚事情とは

    

しばしば、シングルマザーやシングルファザーの再婚は難しいと言われます。実際、子どもがいることで、パートナーとの関係づくりが難しくなる可能性も否定できません。

しかし、社会におけるシングルマザー・ファザーの捉え方が変わってきていることも事実です。近年におけるシングルマザーの再婚事情は、一体どのように変化しているのでしょうか。統計とともに詳しく見ていきましょう。

1-1.全体の「4分の1以上」が再婚カップル

厚生労働省の人口動態調査によると、婚姻総数に対する再婚の割合はこの20年で5%近く増加しています。以下のグラフは、各年の婚姻総数(組)に対し、夫婦のいずれかが再婚である割合を示したものです。

参考:厚生労働省 人口動態調査 (2019年)

2019年には約59万9,000件の婚姻届けが提出され、そのうちの約16万件は夫妻の少なくとも一方が再婚のケースでした。婚姻総数に対する割合は26.7%。全体の4分の1以上が再婚カップルであることに、驚かれる方も多いのではないでしょうか。

もちろん、この数字には子どもを連れていないケースも含まれており、一概にシングルマザー・ファザーの再婚を示したものではありません。とはいえ、離婚歴がある(いわゆる「バツイチ」)からといって、極端に再婚が難しいわけではないことが分かります。

続いて、再婚をした時の平均年齢について見ていきましょう。

1-2.再婚年齢は「35~39歳」が最も多い

同じく厚生労働省の人口動態調査から、再婚をした時の年齢を抽出しました。2019年の調査結果によると、再婚をした年齢で最も多いのは男女ともに35~39歳です。

参考:厚生労働省 人口動態調査 (2019年)

ちなみに、同調査が始まった2015年においては、シングルマザーの再婚年齢として最も多いのは30~34歳でした。この5年で平均年齢が上がったのは明白であり、いわゆる「晩婚化」の波が再婚にも押し寄せている事実が分かります。

時代の流れとともに、結婚に対する価値観は大きく変化してきました。「○○歳までに結婚しないと一生独身」というのは過去の話であり、実際に多くの方が年齢を重ねてからの結婚・再婚を経験しています。

1-3.再婚までの期間も長くなりつつある

再婚に関する価値観の変化は、別の統計からもうかがい知ることができます。以下のグラフは、離婚から再婚までにかかった期間を調べたものです。

参考:厚生労働省 人口動態調査 (2019年)

2019年の統計では、シングルマザー全体の23.8%が離婚から10年以上を経ての再婚をしています。調査開始時の昭和45年が9.0%だったことを踏まえると、驚異的な伸び率です。 それに対して、離婚後1年未満で再婚したシングルマザーは12.9%で、この20年で約7%減少しました。

再婚までの期間が長くなった理由のひとつとして、シングルマザーが社会的に認知されてきたことが挙げられます。離婚率が増加する中で、世間の母子家庭に対するイメージは変わってきました。依然として多くの壁が立ちはだかっていますが、現在は母子家庭を対象とした支援の輪が広まっており、経済的・精神的なサポートを受けやすくなっています。

当社が運営する「wacca」では、ひとり親世帯に向けた「お金のヘルプ」と「心のヘルプ」を実施しています。各種サポートを受けながら、焦らず次のパートナーを探すという思いも大切にしてください。

2.シングルマザー(母子家庭)が再婚するきっかけ

統計から見えてきたように、近年は再婚に対する考え方が多様化しつつあります。あなたが年齢を重ねていたり、離婚から年数を経ていたりするからといって、パートナー探しを諦める理由にはなりません。

ただし、シングルマザーやシングルファザーの再婚においては、子どもの目線に立って考える必要があります。「一緒に暮らせば自然と家族になれる」「実親には会わせない方がいい」と考えてはいませんか? もしかすると、それは間違った思い込みかもしれません。

以下の項目では、子どもの成長過程において、再婚に適したタイミングを考えていきます。

2-1.子どもがパートナーに懐いた

新しいパートナーと再婚する上では、子どもの感情をないがしろにはできません。子どもがパートナーを「親」として迎え入れるかが鍵となります。

子どもは3歳頃までに物心がつくとされており、この時期であれば、継親を受け入れてもらえる可能性が高いでしょう。反対に、物心がつく小学校から中学校にかけては、継親との関係を築くのに苦労するとされています。子どもが思春期に入っている場合は、その意見を尊重し、あえて再婚のタイミングを遅らせるのも選択肢のひとつです。

2-2.子どもが一定の年齢に達した

子育てがひと段落した時期は、親も子どもも再婚を受け入れやすいタイミングです。とはいえ、その場合も子どもの目線に立って考えることに変わりはありません。進学や就職というのは、子どもがストレスを抱えやすい時期です。そのような状況で唐突に再婚を伝えてしまうと、子どもは大きな負担に感じる恐れがあります。

子どもが忙しそうにしているのであれば、時期をずらし、少し落ち着いたタイミングで再婚を切り出すといいでしょう。思春期を経て自立した子どもであれば、親が自分の人生を歩むことを理解してもらえる可能性が高いといえます。

2-3.パートナーとの間に子を授かった

パートナーとの間に子どもが出来たことで、再婚へと踏み切る方も多いでしょう。再婚理由としては十分なものですが、ここでも「子ども目線」を重視する必要があります。

注意すべきは、赤ちゃんが生まれることで、実親子がふれあう時間が減少することです。場合によっては、継親や赤ちゃんに愛情を奪われたと感じるかもしれません。一緒に買い物をしたりゲームをしたりと、実親子の時間をできるだけ作るようにしましょう。

2-4.ステップファミリーの関係で悩んだら相談を

ここまで見てきたように、シングルマザーの再婚に適したタイミングは、どれも「子ども」によって決まります。子どもの複雑な感情を理解することが、安定した家庭を築き上げる一番の近道です。

子どものいる再婚家庭のことを、英語で「ステップファミリー」(stepfamily)と呼びます。欧米に比べて再婚率が低い日本では、このステップファミリーに対する調査・研究が十分に行われてきませんでした。外部の目には「普通の家族(初婚家族)」と同じように映るだけに、再婚家族の抱える問題は表面化してこなかったといえます。近年になり、「ステップファミリー」の存在は一般に認知されつつあります。たとえば2020年に公開された映画『ステップ』は、妻を亡くしたシングルファザーと娘の成長を描いた作品です。

ステップファミリーの当事者支援団体として、「ステップファミリー・アソシエーション・オブ・ジャパン」や「M-STEP」などが活動しています。いずれも講演会や無料相談会などを実施しており、再婚家庭における問題の解決を目指す団体です。

私たちが運営する「wacca」でも、ひとり親家庭に向けた各種サービスを提供しています。メンバー同士のコミュニティを通して悩みを共有できますので、まずはお気軽にご参加ください。

3.シングルマザー(母子家庭)が再婚する際に必要な手続き

新しいパートナーと再婚することになったとき、どのような手続きが必要なのでしょうか初婚時とは違い、「婚姻届」を提出するだけでは新生活を始められません。ここからは、シングルマザーが再婚をする上で必要な手続きを解説します。

3-1.各種制度の資格喪失届を提出する

これまで母子家庭向けの手当や支援制度を利用していた方は、再婚にともない資格喪失の手続きが必要です。さまざまな制度があり、その全部を解説することはできませんが、以下の2つだけは頭に留めておきましょう。

・児童扶養手当
・ひとり親家庭医療費助成制度
以下で順番に説明していきます。
3-1-1.児童扶養手当

シングルマザーが受けられる制度のひとつに「児童扶養手当」があります。児童扶養手当とは、ひとり親家庭に対して、一定の所得以下であれば月額最大42,910円の支給を受けられるという制度です。シングルマザーを対象にした制度の中では最もポピュラーなものですが、再婚をした場合は受給資格を失います。

基本的に、受給資格喪失の届け出は婚姻届の提出と同じ日に済ませたいところです。当日が難しい場合でも、できるだけ早めに手続き行わなければなりません。放っておくと過払い金が発生してしまい、後に返金の手続きをする必要に迫られます。受給資格を喪失したときは、以下の書類を揃えて、お住いの市区町村窓口までお越しください。

・児童扶養手当資格喪失届(自治体により形式が異なります)
・認印
・本人確認書類
3-1-2.ひとり親家庭医療費助成制度

ひとり親家庭等医療費助成制度(通称:マル親)も、ひとり親家庭を対象にした制度のひとつです。医療費の一部を助成してくれる制度なので、活用しているシングルマザーも多いのではないでしょうか。

再婚をした場合、上記の「児童扶養手当資格喪失届」と一緒に「ひとり親医療証」も返却してください。こちらも放置しておくと過払い金が発生し、後の手続きが大変になります。なお、「児童扶養手当」も「ひとり親家庭医療費助成制度」も、事実上の婚姻とみなされた時点で資格を喪失します。婚姻届や戸籍変更の有無は問われませんのでご注意ください。

この他にも、シングルマザー向けの公的制度には「住宅手当」や「児童育成手当」(どちらも自治体により異なる)などが存在します。いずれも資格喪失の手続きを忘れないようにしましょう。

もしも現時点で利用したい制度があれば、「母子家庭(シングルマザー)が利用できる手当・支援制度のまとめ」をお読みください。シングルマザーが対象となる手当・支援制度を一覧にまとめています。

3-2.子どもの戸籍変更の手続きをする

シングルマザーが再婚する場合、「子どもの戸籍をどうするか」で手続きが変わってきます。「婚姻届」を提出した後に何もしなければ、子どもの戸籍は以前のまま。名字が変わることもありません。「入籍届」を出すことにより、子どもは配偶者の戸籍に入ります。

ただし、その場合でも法的な「親子関係」は結ばれません。戸籍上の親子関係を結ぶためには、配偶者と「養子縁組」の手続きをする必要があります。以下の項目では、この「養子縁組」について詳しく解説します。

3-2-1.養子縁組をする場合

養子縁組には、「特別養子縁組」と「普通養子縁組」の二種類があります。このうち特別養子縁組は、実親(生みの親)との親子関係を解消した上で、新たな親子関係を結びます。一方の普通養子縁組は、実親との親子関係を残したまま、新たな親子関係を結ぶものです。

2019年の統計においては、特別養子縁組と普通養子縁組、あわせて72,737件の届出が受理されています(参考:戸籍統計)。参考として、それぞれの違いを以下の表にまとめました。

※2019年の法改正により6歳未満から引き上げられました。
参考:特別養子縁組制度(朝日新聞社)

特別養子縁組は家庭裁判所への申し立てが必要であり、実親の同意など厳しい条件を満たす必要があります。これは特別養子縁組が、もともと虐待などの事情で両親を失った子どものための制度であるからです。したがって、シングルマザーの再婚においては、ほとんどの場合「普通養子縁組」を選択することになるでしょう。普通養子縁組であれば、「養子縁組届」を役所に提出するだけで手続きが完了します。

普通養子縁組の利点として挙げられるのは、主に以下の2つです。
・扶養義務や相続権が発生する
・連れ子と同じ苗字を名乗れる

養子縁組により、所得税の扶養控除が受けられたり、相続税が減ったりします。また、子どもを戸籍に入れることで、同じ苗字を名乗ることも可能です。とはいえ、養子縁組をすることは、再婚相手にとって重大な決断となります。相手の意思を尊重しつつ、話し合いを進めてください。

3-2-2.養子縁組をしない場合

再婚をしても、養子縁組をしないケースも十分に考えられます。養子縁組をしなければ、法律上は子どもに対して扶養義務が発生しません。万が一、ふたたび離婚することになった場合でも、養子縁組をしていなければ養育費の支払い義務は生じません。一方、養子縁組をしないと一次的な扶養者が実親のままになるため、養育費の支払いを継続して受けられます。また、子どもの名字を変えずに済むことも利点です。

もちろん、養子縁組をしないからといって、子どもに対して愛情が生まれないわけではありません。むしろ近年では、実親と継親との関係を保ったまま子どもが成長していく考え方も重要視されています。実親とのかかわりを継続するために、あえて養子縁組をしないという選択肢もあるのです。

4.シングルマザー(母子家庭)の再婚でよくある質問

最後に、シングルマザーの再婚に関してよくある質問に答えます。Q&A形式で分かりやくまとめているので、どうぞご参考にしてください。

Q.元夫に再婚を知られる?

A. 子どもがいる場合、元配偶者に再婚を知られる可能性があります。

離婚後も、あなたの戸籍には婚姻の記録が残っています。子どもがいた場合、元配偶者は直系尊属(親)としてその戸籍を取得することが可能です。戸籍を見れば、再婚したという事実は元配偶者に知られてしまうでしょう。「子どもの戸籍を移せば大丈夫」と思われるかもしれませんが、その場合も元配偶者は法定代理人として戸籍を取得できる可能性があります。

なお、この方法はDV加害者にまで個人情報を与えてしまうため、かねてより戸籍の盲点として危険視されてきました。現在では、申し出により元配偶者への交付を一部制限することが可能です(総務省HP)。DVの被害に遭われている方は、各自治体の窓口までご相談ください。

Q.再婚すると養育費はもらえない?

A. 養育費をもらい続けることはできますが、経済状況により減額の申し出を受ける可能性もあります。

そもそも養育費とは、子どもが自分と同じ水準で生活できるように支払うものです(生活保持義務といいます)。あなたが再婚したからといって、元配偶者が養育費を支払う義務自体に変わりはありません。

ただし、あなたの再婚によって生活水準が上がった場合は、元配偶者は養育費の減額を請求することができます。特に再婚相手があなたの子どもを養子にする場合は、一次的な扶養義務が移行するため、減額される可能性が高くなります。具体的な金額はそれぞれの経済状況により異なります。元配偶者から一方的な減額を求められたときは、弁護士への相談も検討してください。

Q.結納や結婚式はするべき?

A. 初婚・再婚にかかわらず、結納や結婚式に関する決まりはありません。

一口に「再婚」といっても、どちらか一方のみ再婚であるケースと、両方とも再婚のケースに分けられます。もちろん、ひとり親家庭は子どもの存在も考慮しなければなりません。

ただし、いずれのケースにおいても、結納や結婚式を行うこと自体は何も問題ありません。結納品や結納金のしきたりも初婚のときと同じです。全体的な傾向として、女性側が初婚である場合は、両親の希望で結納をすることが多いようです。反対に、二人とも再婚の場合は、結納や結婚式を簡略化するケースが多く見られます。

ひとり親家庭であれば、結納の席に子どもを参加させても構いません。子どもがリラックスして過ごせるように、会場や段取りを工夫するといいでしょう。さらに近年では、子どもも含めて家族全員を主役にした「ファミリーウェディング」の形式も増えています。親子でケーキカットをするなど、初婚とは違った演出をしてみるのもおすすめです。

5.まとめ

今回は「再婚」をテーマに、社会情勢の変化や子どもの問題、具体的な手続きなどを解説しました。繰り返しになりますが、以下に要点をまとめます。

・結婚観の多様化とともに「再婚適齢期」は失われつつある
・再婚にあたり「ステップファミリー」のあり方を学ぶ必要がある
・法的には「普通養子縁組」をする・しないが大きなポイントになる

再婚に対する考え方は、一人ひとり異なって当然です。パートナーや子どもと相談しながら、最良の方法で家庭を築いてください。

もし再婚に関して悩みを抱えているようであれば、ぜひ「wacca」への参加をご検討ください。共通の悩みを持った仲間たちと一緒に、具体的な解決策を探っていきます。

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